休み明けに今まで、沈黙を守りいつもは、
ネチネチ攻撃で、粗探しをしてる上司が退職届を
出した途端、妙に優しい態度に変わった。
奇妙な雰囲気だったが、もうカウントダウンのタイミングで、
呼び出された。いつかは来ると思っていたが・・・
親の面倒を見ると言う理由はわかる。が空いた時間に
自宅で、PCを貸し出すから今までのクラウド版ソフトの入力だけでも
やってもらえないか？と言う。
もちろん新しい人材を募集するが、それまでの間だけでも
お願いしたい主旨の事を言われる。
それに対して、自分の仕事は誰にでも出来るし、
現にもう一人の相方には近日中に引き継ぐ予定等々と
伝える。
だが？この上司はとにかくリップサービスがうまい。
饒舌さは、私の長い仕事経歴の中では、ダントツトップだ。
私の心情を見抜いたのか？他に理由があるのじゃないのか？
誰にも公表しないから自分にだけ話してくれないか？と言う。
そこは、会議室で本元のスイッチを入れないと暖房が入らない。
話し込む内、底冷えの寒さで体が冷えてきた。
寒い環境に追い詰め自白させる。まるで取り調べ室の
容疑者と刑事のような雰囲気になって来た。
話を早く終わらせたい私は、ついに転職の話をしてしまった。
それに対して、上司は納得したが、
『条件がここより、いいのであれば止めはしないが、
そこに就職してやはり人間関係や条件があわなかったら、
ここに戻る事を約束してくれないか』と言う。
傍からみれば、願ってもない話。60代でこんな事ってありえるのか？
正直、最近の自分の老化やボケも自覚してる。
次の所に行っても、昔のようにうまく立ち回れる年齢ではない。
それでも？紹介してくれた知人の恩義も感じるし、
老体に鞭打ち何とか頑張ろうと決心した。
だが？安全パイをくれる現会社の意向も大事にしたい。
しかし？世の中と言うのはそううまくは出来ていないと思う60代。
あっちふらふらこっちフラフラでは、いつかしわ寄せが
来るものである。
あと数日、我慢して出社すれば毎日日曜日を数週間迎える事が出来る。
今はそれしか考えられない。
取調室では、カツ丼は出なかったが、デスクに戻ると
現場の女性からひな祭りだからとちらし寿司の差入が・・・
