母を病院に送り届ける時、
車を病院の玄関に一番近い駐車場に止め、外来用の車椅子を
取りに行った。
『ここで、待っていて』と言ったのに母は いつの間にか車から
降りて自ら杖をつき、病室まで歩こうと思っていたらしい。
車いすを持ってきた私に、いいの?勝手に持ってきて?と聞く。
何をするにも、『人様のものを勝ってに使用したらダメ?』と
言う気持ちが根底にあるらしい。
私から見れば、堂々たる入院患者当然の権利だ。
(入院費も払ってる、あっこれ違うか?)
帰路を急いでる私は、車いすに乗せた母を猛スピードで、
病室まで送り届ける。
普段、グータラ根性が身につき、脂肪付きまくりの身体でも
こういう時の体力は、30~50代並みだ。
病院内を右や左に回り、エレベーター内のボタンは、
隼のように押し、6Fの病室までわずか1,2分で到着した。
車いすを押してる時、こういう光景以前にもあったなと思い出してしまった。
7年位前、長姉が闘病中一時帰宅で病院に送って行った時、
抗がん剤治療中の姉が、病院の入口で咳が止まらなくなった。
近くにあったトイレに入り姉の背中をさすりながら、
病室に行き、看護師に言えば処置してくれるのに、
姉は頑固として、咳が収まるのを待った。
車いすが近くに置いてあったのを思い出し、
これに乗ってと促すが、姉は拒んで1人で歩こうとした。
無理やり乗せて、お互いに半泣き状態で病室まで向かった。
その時の私の車いすを押す速度も母の時より早かったかも知れない。
思い出す長姉。
亡くなってもう6年。年月が経つほど、姉の声や小さかった頃の
思い出が蘇る。後2年で姉が亡くなった年になる・・・